川村 みきをのメモ帳

日々のアウトプットをメモっています。

失った【知性】と【感受性】CR041

 

「あの娘、使えないわ~」が口癖だった元sbccのクリエイターのMAさん。


わたしはMAさんにわたしの意図を伝える為に先にMAさんの意図をひたすら聞いた。


そして一つの仮説に辿り着いた。


それは、MAさんが【反応性】だけでしか生きられなくなった原因がMAさんが22歳の時から40歳までの約18年間という、長い期間にMAさんの生活を支えてきた有名ハンバーガーチェーンでのアルバイトの経験がMAさんから【知性】【感受性】を奪い去っていったのではないか?


これがMAさんとお話をしていて、わたしが辿り着いた仮説だ。


何故なら、MAさんと二人で会話をしてその話題のほとんどがその場に居ない人の悪口や仕事の環境に関する批判ばかりで、わたしがMAさん自身について質問を投げかけても、自身の事はほとんど語らず、人から受けた仕打ちや環境が良くなかったという話題にお話が進んでいく。


例えばこんな感じの会話だった。


わたし 「MAさんは東京の専門学校を卒業して、2年間印刷会社でオペレーターをされていたんですよね?」


MAさん 「そうなんです、専門学校の時の知り合いがその印刷会社の面接を受けるというので一緒に受けにいってその流れで、入社することになって…」


わたし 「当時の印刷会社の仕事って、ほとんどがオフセット印刷だったんじゃないですか?今みたいなオンデマンド印刷とかなくて、一つの印刷物ごとに刷版を作って平版印刷イコール印刷みたいな…」

MAさん 「そうですね、凸版印刷、凹版もありましたが…パソコンで全て完結といったことは無かったですね……あまり真面目に仕事した方じゃないのでよくは覚えていませんが…」


……。


わたし 「印刷会社の仕事でこれまで一番何が大変でした?」

MAさん 「そうですね…一緒に入った知り合いの娘が先にデザイン会社に転職しちゃって私一人残されてしまって…もともと印刷会社に入るつもりも無くて、私は本当はイラスト制作がしたかったのに何か乗せられたって感じで…」

わたし 「そうだったんですね、乗せられて就職しちゃったんですか!」


MAさん 「はい、私はもともと専門学校でのクラスがイラスト制作だったので、イラスト制作の会社に入るつもりだったのが、その知り合いが印刷会社でも制作に関われるって言うからそれで印刷会社に入ったのですが先にその娘に辞められてしまって…何か裏切られたって感じです」


わたし 「そうでしたか…そこからはMAさんはどうされたんですか?」


MAさん 「はい、イラスト制作会社のアルバイトを探したら見つかったので、転職したんですが、そこが待遇が酷くて半年で辞めてしまって…そこから、アルバイトをしながらフリーでイラスト制作の仕事をやっていこうと決めて頑張ったんですがなかなか上手く行かなくて…中途半端なイラスト制作の会社でアルバイトをしてしまったので、私のイラストのタッチと違ったイラストをいっぱい描かされて、本来の私のタッチが描けなくなってしまって…それでお仕事をいただけなくて…」


わたし 「それでハンバーガーチェーンでアルバイトをしながらイラスト制作を続けていたのですよね?何故?また、ハンバーガーチェーンを選んだのです?」

MAさん 「何も考えなくてよさそうだと思ったのとマニュアルがしっかりしてるので楽そうだし、いろいろ時間が選べるし、アパートから近かったからかな…」

わたし 「実際はどうでした?」

MAさん 「そうですね、何も考えないでいいというのはその通りでした。ただレジの所に立って目の前に人が立ったら、マニュアルに従って接客してたら時給をもらえるのでそこは楽でした。でも、いろいろ時間が選べたのは最初の頃だけで長く居るとチーフやアルバイトリーダーなどにされてしまって…アルバイトの娘の管理なんてやりたくないから適当にやっていました、だってアルバイトの仕事は単なる生活費をもらうだけの作業だからどうでもいいんです、だから、制作の収入が上がって、アルバイトを辞められてよかった~って思っています」


……。

この先は永遠とこんなやり取りが繰り返されてわたしはとうとうMAさんの意図を汲み取ることが出来なかった。


MAさんは相手がわたしだから、こんな対応をしたのかなって考えたのだが、他のクリエイターに対しても同じような話しかしていない。


何ていうかとても表面的で薄っぺらな会話。


わたしより3年も多く生きてきたそんな人の人間の幅がたったこれだけなのか…と思うと本当に心からMAさんに
同情してしまった。


専門学校の時の友人の誘いに乗って就職した時から20年もの間、MAさんは自分の人生を生きていない。


生活の糧を得る為のハンバーガーチェーンでのアルバイトがMAさんの人生の時間のほぼ全てを占領していたということに彼女は気づいていない。


一日の大半を費やす事が意識しようと、意識しまいと、その人の人生を作る。


生活の糧を得ることは生存していく上でとても重要なことではある。


だからバランスを上手く取ることが重要なんだけど、MAさんがその一日の大半を使う仕事を選んだ基準が、


「何も考えなくていい」
「マニュアルに従うだけで楽」
「時間の融通が利く」
「住んで居る所から近い」


というもの。

この基準がMAさんという人を作り上げた。

人は習慣の生き物。

そして人は環境で創られる。