川村 みきをのメモ帳

日々のアウトプットをメモっています。

永遠のループCR042

「あの娘、使えないわ~」が口癖だった元sbccのクリエイターのMAさん。


わたしが辿り着いた一つの仮説それは…


MAさんから【知性】と【感受性】をを奪い去っていった原因は18年間続けた有名ハンバーガーチェーンでのアルバイトではないかというもの。


正解かどうかを判断する事は容易ではないし、他の要素も多分に含まれているとは思われるがほぼ間違いないだろう。


何故なら、わたしとMAさんがお話をした最後の最後にMAさんから打ち明けられた話を聞いてわたしは言葉を失ったと同時に確信したからだ。


それは…


MAさん 「私…ハンバーガーチェーンのレジに立っている時が一番楽なんです。だって、何も考えなくてボーッとしてて、目の前に人が立ったら、身体が勝手に反応しているんです。」

「でも、sbccの制作をやっていると、クライアントとのやり取りやイラストの制作でいろいろ想像しながら進めないと上手くいかないから…」


「私の場合だともの凄く頭を使ってしまって、それでいつもイライラするんです。実はもう、イラストを描くのも辛くて…イメージが全然出来なくて…何も沸いてこないというか……」



最後のこの話を聞いて、わたしは表現しようのないほどの衝撃と感情に襲われて一瞬にして全てを悟った。


「あの娘、使えないわ~」が口癖だった元sbccのクリエイターのMAさんのこの、「あの娘、使えないわ~」の言葉の真意は、『私、もう使えないわ…』だったのだ。


人が他者に言う言動の真意は実は、自分自身に言っている言動である場合が多くある。

今回のMAさんの口から出た言葉のほとんどが他者への批判、環境への批判だったのだが、実はこれらは自分自身への批判だったのだ。


MAさん自身がMAさん自身の生き方を選択せずに、専門学校時代の知り合いの進めで流されるままに就職先を決めたり、


「何も考えなくていい」
「マニュアルに従うだけで楽」
「時間の融通が利く」
「住んで居る所から近い」


といった動機で安易に決めたアルバイトで得た収入で18年間もの長い間、暮らしてしまったことで生活の全てがそのアルバイトだけで埋まっていたという事実。


結果、40歳になって、たまたま人のツテで出会ったsbccでも彼女は、ハンバーガーチェーンでの働き方しか出来ずに苦しんでいたのだ。


18年前にMAさんがこの、ハンバーガーチェーンでアルバイトを始めた当初の動機は、


「フリーのイラストレーターとしていつか独り立ちする為に現状の生活費を得るのと多少の独立資金を貯める為の手段として」


であったはずだ。これはMAさんのお話から読み取れるので間違いないだろう。


だけど、時間が経つにつれて一日の大半を占めるハンバーガーチェーンでの作業がMAさんの人生そのものになってしまった。


つまり手段が目的となってしまったのだ。


「生きるための生活費を得る手段」が、いつの間にか、「手段の為に生きる日々」となったのだ。


分かりやすく言うと、


家賃や水道ガスなどの光熱費や税金や食費や衣服代、医療費、雑費や電話代などの生きていくのに必要最低限かかるお金を得る為に、
ハンバーガーチェーンでアルバイトをする。
そしてもらったお金で生存の費用を支払う。これでまた1ヶ月生き延びることが出来る。
そしてまた生き延びる為に必要な費用が発生するので、ハンバーガーチェーンでアルバイトをする。

そしてもらったお金で生存の費用を払う。これでまた1ヶ月生き延びることが出来る。

そしてまた生き延びる為に必要な費用が発生するので、ハンバーガーチェーンでアルバイトをする。

そしてもらったお金で生存の費用を払う。これでまた1ヶ月生き延びることが出来る。


・・・


MAさんはこの繰り返しを18年間、実に216ヶ月間ずっと繰り返していたのだ。

もっと言えば専門学校に通っていた時から既にこの繰り返しは始まっていたのかもしれない。


そして40歳になって本来やりたかったはずだったイラスト制作が苦痛になり、何も考えないで反応だけで出来る作業を身体が心が求めるようになってしまった。


もう、そこには【知性】とか【感受性】などというものはカケラも存在しない。

わたしがMAさんと二人でお話をしようと考えた当初の意図はsbccの制作において、

うわべだけじゃない真のクリエイティブな制作を進めていくには、誰が使えるとか使えないとかそんな人を道具として扱う次元ではなく、もっと高い次元で制作を進めていく為にコミュニケーションをと、考えていたのだが、もうそんな意図はどこか遠くへ消えていた。


MAさんが迷い込んだこの永遠のループ今の社会では誰でもこのループに迷い込む可能性がある。