川村 みきをのメモ帳

日々のアウトプットをメモっています。

作業に不要なものCR044

 

「あの娘、使えないわ~」が口癖だった元sbccのクリエイターのMAさん。


生き延びる為に必要な費用を得る手段であったはずのハンバーガーチェーンの作業がいつの間にか、その作業をする為に、今日を生き延びているということに…つまり手段が目的となってしまった。


そして、一定の環境で生きてきた人はその環境の下でしか生きられないのだが、時に人は高い適応力で新しい環境にも適応していくことが出来る。


だけど、MAさんは同じ環境の下に長い間居続けてしまった事で新しい環境への適応力が失われていた。


そして何かを創る仕事に欠かせない、【知性】【感受性】も無くただ、起こった出来事に【反応】しているだけの振る舞いしか出来なくなっていた。


MAさんから【知性】【感受性】を奪った原因は18年間のハンバーガーチェーンでの作業の繰り返しの日々。


では、何故、ハンバーガーチェーンでの作業がMAさんから【知性】【感受性】を奪ったのか?


それは、ハンバーガーチェーンでの作業に【知性】も【感受性】も不要だからだ。


どういうことか?


ハンバーガーチェーンにはほぼ全てにマニュアルが整っている。

作業員にはそのマニュアルに従った行動が求められる。

作業員はそのマニュアルに従って、ハンバーグを焼き、パンを温めて、ハンバーガーを作る。
出来たハンバーガーを包み、袋に入れて、お客様に提供する。


この一連の流れは全てマニュアルで管理されている。


だからそこには【知性】を使っての、創意工夫など必要ないのだ。


「いや、そうは言っても、どうやったら、お客様をお待たせせずに美味しいハンバーガーをより早く提供出来るかを考えるのは大切な事と思います。」


と、いう意見もあるだろう。

それも正しいがそれは末端で作業をして時給を貰っている作業員の仕事ではない。


それを考えるのは本部の中枢の人間。
つまり経営者により近い人間だけなのだ。

MAさんのような末端の作業員がそんな事を考えて自分勝手に動かれちゃ、ハンバーガーショップは機能しない。

注文を受けてから2分以内にハンバーガーを提供することがモットーのハンバーガーショップにはそのような創意工夫は邪魔にしかならない。

求められるのはいかにマニュアル通りに従順に動けるかだけなんだ。


そしてもう一つ【知性】が邪魔になる理由がある。

それは、レイヤーつまり階層の問題だ。

例えば、MAさんはアルバイトを辞める時は役職として、アルバイトリーダーになっていた。そのハンバーガーショップのアルバイトをまとめるトップだ。


そこに新しくアルバイトのBさんが入って来て、MAさんのやり方にいろいろと意見をしたとする。

するとMAさんはいい気持ちはしない。

仮に新人のアルバイトBさんの意見が正しいとしてもMAさんは多分…受け入れられないだろうな。

プライドというのもあるし、面倒でもある。そして受け入れてもMAさんにその意見に基づいて何か実行する権限など多分ない。


きっとその新人のアルバイトBさんの意見は正しいんだろう。

だけどそのハンバーガーチェーンにとって正しさなどは実はかなり優先順位が低い。


優先順位が高いのは、いかにして効率よく業務を遂行することが出来るかだ。

こういったことから末端の作業員であるアルバイトには【知性】は不要となる。


では、この時この意見を言った新人のアルバイトBさんはどうするのか?


多分、二つの選択に迫られるだろう。

正しい事が通らないならという正義感あるいは自分の意見が通らないならという自己重要感に基づき辞めるという選択。


もうひとつは、自分の意見を飲み込むという選択。

こちらは、ある意味割り切るという選択でもある。

「バイトは所詮バイトなんだから、いちいち考えてやっていたら勤まらないだから考えないようにしよう。」

「せっかく見つけた楽なアルバイトなんだから、続けていく為にも気にしない考えないようにしよう」

という感じで気になってもいちいち考えないように自分自身に言い聞かせる。


実はこれが最悪なのだ。


『私には無関係、所詮バイトなんだし…』


というメッセージを意識で想起して潜在的な無意識に落とし込む。
これを日々、事あるごとに繰り返していく。


するとどうだろう、見事に【知性】が破壊されてしまうのだ。