川村 みきをのメモ帳

日々のアウトプットをメモっています。

夢のようなビジネスのお話

それは、大きな矛盾を含んだビジネスモデル

 

「あなたもわたしのように成功者になりましょう!」

「独立半年で3千万円を稼いだビジネス手法公開!」

そんなキャッチフレーズで、“自らの能力で独立起業して稼ぎたい”という欲望を持つ人の心をくすぐってくれる夢を売るビジネスモデル、それは一部の人達から“夢ビジネス”と言われている。

夢ビジネスのマーケット

 

この“夢ビジネス”の市場は年々、確実に拡大している。

拡大している最たる理由は、参入障壁さんにゅうしょうへきがびっくりするほど低いから。

ちなみに参入障壁さんにゅうしょうへきというのは、ビジネスに参入するための条件やルールやタイミングなどのことを指す。

“夢ビジネス”の参入障壁さんにゅうしょうへきが低いという根拠は、このビジネスを始めるにあたって何の資格もいらないし、国に申請するような手続きも無いし、また設備投資もほとんどいらないというところにある。

“夢ビジネス”に参入する段取りをシンプルに表現すると…

わたし自身を成功者だということにする。 半年で3千万円稼いだことにする。 その3千万稼いだ秘訣を売る。

たったこれだけ。

まず、わたしは成功者だということにするというところだけど、これは本当に誰でも出来るし、またそう考えた方がその人自身にとってメンタル的にいい。

自らを“失敗者”と定義するよりも、人生は明るい。

大学を無事卒業出来た。 会社に無事就職出来た。 可愛い彼女が出来た。 朝、ちゃんと時間通りに起きることが出来た。 間違わずにスーパーマーケットで買い物が出来た。

すべてが“成功”と定義することが出来る。 だから誰でも成功者になれる。

誰でも成功者になれる魔法の解釈

 

成功なんて曖昧な単語は捉え方によって、どうにでも解釈出来る。 会社をつくって上場させて100億円の資産をつくることが成功だと解釈する人もいれば、今日のデートで無事に意中の女性に告白できたことだって成功っていう人も多数いる。

次に、半年で3千万円稼いだというつくり話も誰でもつくれる。 証明出来るものを求められたら、外車と写っている写真とかあれば十分だ。

もっとも最近では、3千万円ではインパクトが低いので1億円位にしておいてもいい。

最後はその稼いだ秘訣をPDFか何かにまとめて売って、その先は成功のためのコーチングなどをしてお金を得るというビジネスモデルだ。

誰かがそれを“夢ビジネス”と定義した。

 

検証も出来ないし裏付けも難しい夢ビジネス

 

成功の定義なんて人それぞれだし、半年間で3千万円や1億円は売上なのか利益なのかわからないし、もっとも本当に稼いだのか?というのも、非上場の会社なら確かめようもない。

また、その秘訣を売るという時点で秘訣ではないし、秘訣を売るということは既にその秘訣と当人が言っている何かはその人自身にとって価値が無くなった証拠だろう。

着ていた服を古着として売るのとはワケが違う。

そんな秘訣といっている何かを買ったところでそこにどれ程の価値があるのかを考えると相当怪しい。

そもそも、『成功する秘訣』というものが本当に存在するのであれば、人に売らないのではないだろうか?

確実に当たる宝くじを人に売る人はいない。

そんな矛盾に満ちたビジネスそれが“夢ビジネス”だ。

それは、人々に夢を見せている商売だという意味だろう。

 

いま、夢ビジネスが求められている理由

 

この“夢ビジネス”、軽蔑けいべつする人も少なくない。

ネットのニュースなどでも、“主婦が夫に内緒で借金してまで…”といったヘッドラインで時々取り上げられている。

だけど…いつの時代もそんな“夢ビジネス”は無くならない。

何故なら今の社会に必要なものだからだ。 この閉塞的な時代の社会環境で多くの人は夢を見れなくなってしまっている。

だから、第三者に夢を見せてもらうことで救われたような気持になるのだ。

宝くじもある意味では夢を売るビジネス“夢ビジネス”だ。 競馬だってそうだろう。

宝くじに当選したわずか数%の人がネットニュースなどでクローズアップされて、人々は宝くじを買い続ける。

だけど、宝くじの当選確率とかって交通事故に遭遇するより、雷に当たるよりも低いということは誰もが知っている。

でも、「もしかしたら当たるかも…」という淡い期待を抱いて人は宝くじを買う。

独立起業して自分の能力で稼ぎたいという人を対象に展開される“夢ビジネス”はそれよりずっと現実的だろう。

「“半年間で1億稼いだ!」

と、言っている人の身なりや立ち振る舞いや言動や持ち物を見て、

「もしかしたら自分も稼げるかも…」

と思わせてくれるのは、自らの価値や能力を低く見積もってしまう我々日本人にとってはうってつけだ。

だからこそ、“夢ビジネス”を展開している人も、

「高卒ニートで月収13万円の生活から一発逆転!」

「うだつのあがらない会社員だった僕が…」

といった、“ダメだった過去”→“成功した未来”といった黄金の方程式に従う。

 

誰もが夢を見るから成立する

 

多分…

“夢ビジネス”を仕掛ける人の仕掛けた時期ってほとんどがお金もなく、また実績も無いはずだ。

だけど、自分自身を“成功者だ!”“半年間で1億円稼いだ”と言い続けることで自分自身を洗脳してしまい、いつしかそれが現実になる日がくる。

その日までの道のりで出会う人達からの援助で。

そして、“夢ビジネス”の顧客になっている人も自分自身の能力で稼ぐことを夢見ることが出来る。

わたし自身、そんな“夢ビジネス”を展開する人に会うたびに、空っぽだったわたし自身は能力を磨くことの重要性を教えられた。

それはある意味、空っぽの“夢ビジネス”を展開する空っぽの人たちから学べたといってもいい。

成功法則を売り物にして、他人に夢を見せるということ…それは、こちらがどのように向き合うかによって結果は大きく違ってくる。

ネットのニュースで取り上げられるネタのほとんどは、“夢ビジネスに騙された”というものだ。 それは、与えられた夢に依存して、

『この人が私を成功させてくれる』

といった、幻想を抱いてその幻想から覚めた時に相手に対しての憎悪が生まれたんだろう。 そしてその人は被害者になったというわけだ。

それはどんな事柄にも当てはまる。

コンビニエンスストアフランチャイズオーナーだって、事業主として様々な制約があるFC加盟店として商売を始めたわけで、そこで上手く人もいれば、上手くいかない人だっている。

株式投資だって、仮想通貨だってこの世界にあるすべてのことに対して上手く出来る人と出来ない人が存在する。

そして、それらは無くなることはない。

だから、これからも多くの“夢ビジネス”が誕生して、そして消えていくことだろう。 その中で質のいい“夢ビジネス”を展開している人もわずかながらだけど確実に居る。

そして、そういった人たちは多くの人に夢を見せてくれる。

夢を見ることって人が生きていく上で欠かせないことだから、“夢ビジネス”を展開している彼らは大きな価値を生み出しているとわたしは思っている。