川村 みきをのメモ帳

日々のアウトプットをメモっています。

650キロ離れた青森に届いたイラスト|りんごのイラストのお話01CR008

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引越しの時に荷物の整理をしていたら、昔お世話になった制作会社さんが毎年受けていた『りんごのイラスト』の案件の資料があった。この案件は都内で青森県のりんごのPRを打つ時に使うパンフレットやフライヤー、ノベルティのメモ帳などにりんごのイラスト入れるというもの。

実はこのりんごのイラストの案件、このお世話になった制作会社さんが毎年決まって受けている案件で、イラストを描くイラストレーターもほぼ決まっていた。

多くの人の心に響いたりんごのイラスト

 

では、何故?この案件の資料をわたしが持っていたのかというと…

それは、この制作会社の代表から相談を受けたからだ。

わたしが相談を受けた前年まではりんごも豊作で、特に問題なく都内でのPRは行われていたが、相談を受けた年は台風の影響でりんごがほぼ全滅してしまい、その年の都内でのPRはわずかに残ったりんごと前年に取れたりんごをジャムにしておいた“りんごジャム”をPRするということになったそうだ。

「これまで同様にしていてもイベントの費用分を売り上げで回収出来ないかもしれない…厳しい状況になる、だから何かいい案が無いだろうか?」

と、いうのが相談の内容だった。

私はそのイラストを見せてもらった。 確かにちゃんと描けているし上手いと思う。 でも、そのイラストから何も伝わってこなかった。

イベントを成功に導いたりんごイラスト

 

それで“今回はどうするか?”を一緒に考えて、“りんごのイラスト”のコンペをすることになった。 そう決まってから、つながりのあるイラストレーターさん達に声をかけてりんごのイラストを描いてもらうのだ。

そして描いてもらったりんごのイラストをクライアントにも見てもらって一緒に決めようということになった。 もちろんこれまでずっと、りんごのイラストを描いていたイラストレーターにも参加してもらってだ。

結果を先に言うと、コンペで採用されたりんごのイラストを描いたのはイラストを描き始めてまだ半年足らずの21歳のイラストレーターの女性だった。

満場一致で決まったイラスト

 

彼女の描いたりんごのイラストは満場一致で採用された。

画力もまだこれから伸びる可能性はあるだろうが、その時はそんなに優れていたわけじゃない。 あまり記憶に無いが他にも上手い人はたくさんいたと思う。

でも、わたし達みんなが〝これがいいね〟と言ったその彼女のイラストには、りんごのイラストの他にあるものが描かれていた。

わたし達みんなはそのあるものに惹かれた。

更にキャッチコピーまで書かれていた。 後で聞いた話では、キャチコピーを初めて書いたそうだ。

たったひとつのイラストが与えた影響

そのイラストが採用されて、りんごとりんごジャムのPR活動の時の、パンフレットやフライヤー、ノベルティグッズなどになって多くの人の目を楽しませ、心を和ませて、名産品であるりんごとりんご製品の売れ行きに貢献したという。

そして、台風でほとんどのりんごが駄目になった農家の暮らしを助けたことだろう。

もちろん、りんごのイラストだけのおかげじゃないことは分かっている。 一生懸命にりんごとりんごジャムのPRをしていた方々の功績だろう。

ただ、りんごとりんごジャムのPR活動という大きなプロジェクトに、半年足らずの若いイラストレーターはちゃんと参加していたのだ。

そして彼女が描いたイラストは遠く650キロ離れた青森の地にちゃんと届いた。

では、彼女が描いたイラストにはりんごの他に何が描かれていたのか…?

そして、何故?半年足らずの若いイラストレーターの作品がみんなの心を打ち、満場一致で青森県のりんごとりんごジャムのPR活動のイラストとして採用されたのか?