川村 みきをのメモ帳

日々のアウトプットをメモっています。

再会は苦い記憶と共にCR013

 

夢のような環境に憧れていてもゴールは現状維持なら…

 

東京ビッグサイトで開催されたコミティアというイベントに足を運んだ日のお話。

このコミティアというもの、最初に聞いた時はコミックを連想し、コミック=漫画のイベントかと思った。それで漫画家の友人に聞いたら、漫画だけではなくイラストのコーナーも充実していると熱く語ってきたので、行ってみた。

朝の11時少し前に入場者の列に並び、係員の誘導で会場に入ると広い会場内に大勢の人が居て、机と椅子のみの簡易的なブースが所狭しと置かれ、出展者はそれぞれの作品を並べている。

早速、順番に端っこのブースから拝見させていただき、イラストコーナーに並んでいた全ての出展者のブースを眺め終わって、改めて実感したことがある。

コミティアというイベントに足を運んで気づいたこと

 

それは、『どのイラストもほとんど遜色なく上手で良く描けているということ。』

イラスト制作のプロでは無いわたし自身はイラストは描けないが、これまで仕事で多くのイラスト作品見てきた一人の目で見てそう感じた。

もっとも、ある程度こういったイベントに出展するだけの自信があるから出ているわけで、ものすごく下手くそな絵の方はそれ以前に出ないんだろうけど。

何ていうか同じような絵がずらーっと並んでいる光景は縁日の屋台を想起させる。 それだけに、他との違いを見出していくのは難いだろうな・・・と。

何人かの方に声をかけてお話をさせていただいた。

ほとんどの方は今はフリーターで趣味の領域でイラストを描いていて、『いずれフリーのイラストレーターとして食べていきたい。』と言っていた。

その中に一人偶然、以前一緒にsbccの名刺を制作していた、Bさんという方がブースを出していた。

Bさんだとは知らずにBさんのブースの前に立って、作品を見て話しかけたらBさんだった。

Bさんとの偶然の再会は複雑な感情

 

Bさんはわたしが記憶しているところによると12人くらいの方のsbccの名刺の制作を担当されたはず。そしてsbccの名刺から派生してWebサイトの制作のお仕事もあったはず。

当時のBさんは専門学校の卒業間際で東京で一人暮らしをしていて、自身のアパート代や生活費を得る為に近くのスーパーマーケットの鮮魚コーナーでアルバイトをしていた。

そして、原田さんというわたしの知り合いと繋がって、Bさんは原田さんに「イラストを描くお仕事がしたい」と言っていたそうで、紹介していただいてそこからつながりが出来たと。

当時21歳の専門学校生。

一度お会いしていて、Bさんから「sbccの名刺にとても興味があります、制作したいです!」というお言葉をいただいたので、「ではやってみましょう!」ということでスタート。

Bさんがsbccの名刺の制作を始めてまもなく3月に震災があって、Bさんはしばらく実家の広島に身を潜めていて、その後7月に東京に戻ってこられたBさんからこんな事を言われた。

現状維持は自らを強烈に支配する

 

「やっぱり私はアルバイトでもしながらイラストをちょこちょこ描いていく生活がしたいんです…」と。 そしてそれを最後にBさんとは連絡が繋がらなくなった。

なので、Bさんと再開した時はさすがにバツが悪そうな顔をしていたが、わたしは努めて普通に話をして、Bさんの近況を聞いた。

それは、今現在も変わらず近所のスーパーマーケットの鮮魚コーナーでパートをしながら何とか暮らしていること。スーパーのパートが夕方からの時は昼過ぎまで寝ていて、今はイラスト制作の仕事も無いので、時々、好きなイラストを描いてpixivに投稿したり、こうやってイベントに出たりしているということ。

「別に楽しくは無いけどそれでいいんです。」と言っていた。 別に他人の人生に干渉するつもりは無い。

だから、Bさんが23歳で昼過ぎまで寝ていて夕方からスーパーのバイトに行って時々イラストを描いていることもどうでもいい。でも「一緒に制作の仕事をやっていきたいです。」と言ってくれた以上はちゃんと関わって、最後も気持ち良く終わりにしたかった。

関わってくれた人のことを考えた時…

 

関わった方がちゃんとゴールに辿り着けるような環境を整えていきたい。 それがわたし自身のゴールに辿り着く一番の近道だと思っているから。

だけど、Bさんについてわたし自身に大きな落ち度があったと今になって気づいた。 それは、Bさんがsbccの名刺の制作を始めた当時、Bさんのゴールが『現状維持』であったということ。

そしてその事に触れることなく、Bさんは『現状維持』というゴールとはかけ離れた、イラスト制作のフリーランスという『新しい世界観の形成』の道筋に進んでしまったということ。

そして震災を期に、自身のゴールが『現状維持』だという事に気づき、クリエイティブアボイダンス(創造的回避)が働き、様々な理由をつけて形成されつつある『新しい世界観』を壊したということ。

 

自らのゴールが『現状維持』が悪いことではない

 

ゴールが『現状維持』がダメな事だとは思わない。

この世界にはゴールが『現状維持』な人がたくさん居るから我々の暮らしが成り立っているという側面がある。

ただ、ゴールが『現状維持』のままで『新しい世界観の形成』に取り組んでほしくないと思う。 それをやってしまうと確実に人間関係が壊れてしまう。

Bさんがsbccの名刺の制作を始める前に、もっとちゃんとBさんのゴールをしっかり見極めて、もし、ゴールが『現状維持』ならゴールを書き換えるための道筋をつくってあげるか、それとも関係性を持たないかの選択をする必要性があった。

わたし自身も何度かそういった経験が何度もあって理解していたはずなのに…。

ゴールが『現状維持』だった時に、その当時やっていた仕事が嫌で興味本位で新しい仕事に就いて、変化していく自分に耐えられなくなり、クリエイティブアボイダンス(創造的回避)が働き、仕事のミスを連発し、他者とのいい関係を築けずに逃げ出したことが何度もあった。

さて、いまはどうだろう・・・