川村 みきをのメモ帳

日々のアウトプットをメモっています。

『恐怖』と『痛み』ではないものCR032

『恐怖と痛みを避けるのが人間の本能』

何か大切な物事を始めるとき、あらかじめ入念に準備をする。 まずはその物事は何の為にするのか?をじっくり時間をかけて熟考する。

そしてその物事を達成した時のイメージが完璧に出来た時に始める。 逆にその物事を達成した時のイメージが出来なかったらその物事は始めない。

何故ならそんな行き当たりばったりでは、自身の望む結果に辿り着くわけがないし、まず何を望んでいるのか?が分からない可能性もあるから途中で必ずダメになる。

これはわたしが22歳の時からやっていた仕事の添乗員の時に身に付いた習慣だ。

添乗員という仕事は旅行の行程を全て管理する。

それも見ず知らずの人達20人~50人位の人を一人で引率するわけだ。

わたしが居た会社では旅館の手配やバスの手配、参加者一人一人の確認まで全て添乗員一人がこなす。

それはもう凄い量になる。

しかも十分な研修も受けずにやるから、最初はミスばかりだ。

旅館への夕食の手配の人数が間違っていたり、バスの座席数が間違っていたり、同じような名前のホテルがあって間違って、宿泊するホテルとは別のホテルに手配したりと最初は散々だった。

そして間違ったら、その苦情やトラブル対応は全て間違えた当人にそのまま跳ね返る。

これが逆に良かった。

 

「間違う」

「お客様から怒られる」 「夕食の数が足りず自身もお客様も困る」 「ホテルの部屋がなく自身もお客様も困る」

「帰ってきたら上司に怒られる」

「間違うと嫌な思いは自身がする」

「次からはちゃんとするように注意する」

 

22歳の時のわたしは【反応性】だけで生きてた。

【反応性】だけで生きてる人に最も効果的な教育は恐怖と痛みだ。

人はもともと恐怖と痛みを避ける動物だ。

だから、【反応性】だけで生きてる人は、【知性】も【感受性】も持ち合わせていないのでそういう人を動かす方法の一つは、恐怖と痛みを与える事だ。

わたしはこの添乗員を始めた時に、お客様に怒られる、ホテルの部屋がない上司に怒られるといった『恐怖』と夕食が足りずに自身が夕食を取れない、クレームで給料が減額されるといった『痛み』を味わった。

その『恐怖』と『痛み』に身体が反応し、添乗員として旅行に行く前日は誰よりも早く会社に来て、旅行の行程表を確認し、ホテルについて調べ、行く先の観光名所について必死になって知識を仕入れた。

これらの行動の全ての源泉となっているのは、『恐怖』と『痛み』を避ける人間の本能だ。

【反応性】だけで生きていたわたしは、【感受性】を持ち合わせていないので、お客様の感情や悩みといった気配を感じ取ることが出来ない、だから『お客様のため』という発想がない。

【知性】を持ち合わせていないので、会社の事を考え、自身の事を考え、わたしはどんな立ち位置でどんな行動を取っていけばいいのか?給料が上がるには事前に準備をしたほうがいいのかしないほうがいいのか?といった事を考えない。

【反応性】だけで生きてたわたしの全ての行動の源泉は『恐怖』と『痛み』を避ける人間の本能。

一見すると効率がいいように思える。『恐怖』と『痛み』を避けることを源泉に身体が仕事を覚えていくかのように見える。

確かにこの時期に覚えた事は今も身体に染みついている。

だけど、『恐怖』も『痛み』も慣れてしまうという事を忘れててはならない。

例えば、ホラー映画。

わたしの知り合いにホラー映画が大好きな人がいる。 わたしはホラー映画は大嫌いなので、その人とホラー映画の話ではいい会話は出来ないが、その人にわたしは、「以前、[リング]を観て死にそうになった」と、言ったら笑われた。

[リング]なんて、子供だましなんだそうだ。

「ヤバいのは伊藤潤二の作品だよ・・」とか言ってたがもちろん観るつもりは全くない。

要はホラー映画とは『恐怖』を感じる事が出来るコンテンツだ。

わたしはホラー映画に慣れていないので、[リング]でも十分怖いがその知り合いは、ホラー映画に慣れてしまっているので、[リング]など子供だましという事になる。

つまり、『恐怖』も『痛み』も慣れるので継続しないということ。

当時、【反応性】だけで生きてたわたしが動けた源泉の『恐怖』も『痛み』もすぐに慣れてしまい、多少のクレームやトラブルは器用に処理出来るようになった。その結果、事前準備を適当にこなしても、何とかなっていた。

あの時はそれが「カッコいい」とさえ思った。 「俺って仕事出来るじゃん!」とさえ思った。

でも間違っていたと後になって強く実感した。

 

今、仮に【反応性】だけで生きているクリエイターが居たとしても、『恐怖』と『痛み』では一時的に上手くいった様に見えても何の解決にもならないということ。

『恐怖』と『痛み』は緊急の措置にはなるが、恒久的な効果はない。

ではどうすればいいか?