川村 みきをのメモ帳

日々のアウトプットをメモっています。

人ごとじゃないCR046

「あの娘、使えないわ~」が口癖だった元sbccのクリエイターのMAさん。

生き延びる為に必要な費用を得る手段のハンバーガーチェーンの作業をする事が今を生き延びる目的になってしまった。
そして新しい環境への適応力を失い、クリエイティブな仕事に欠かせない、【知性】と【感受性】を失った。


MAさんの口癖になっていた「あの娘、使えないわ~」の言葉の真意は、『私、もう使えないわ~』だった。


MAさんとわたしが出会って、MAさんが18年間勤めていたハンバーガーショップに勤めた動機や18年間の想いやそこから得た事のお話を伺ってわたしが強く感じた印象は、


『こりゃ人ごとじゃないな…』

 

ということ。


MAさんがハンバーガーショップで働くというGOALと、わたしが派遣で旅行の添乗員として働くというGOALと、カラオケボックスで働くというGOALが全て同一だったからだ。


それが『自分の都合を満たす為』という事

言い換えれば『自分の欲を満たす為』ただ、わたしの中では当時はとにかく、一人で東京に出てきて、アパートの家賃や、電気代や水道代、食べ物を買うお金など「生きるという欲を満たす事」を最優先するのが人間だろう。

そしてどうせ働くなら「やってみたい事」で楽で楽しい事を求めて何が悪いんだ。

カラオケボックスって楽そうだし、いつも最新の音楽がかかっていて楽しそう、いい出会いもありそうだし、時給も他に比べてそこそこいいし、なにより楽しくなかったら続かないよ。」

「無料で旅行に行けて、全国各地津々浦々の土地の名産品やその土地でしか食べられない食べ物を食べられていろいろな景色が見れて、それでいてお金がもらえるなんて、夢のような仕事をして何が悪い」


という想いがあった。


MAさんも同じような事を言っていた。
MAさんも地方出身で両親や親戚から、「早くちゃんと正社員で就職しなさい、いい人と結婚して幸せになりなさい。」

もうそれは何百回何千回と言われ続けたそうだ。


そんな風に言われるたびにMAさんは、

「せっかく東京に出てきて、イラスト・デザインの学校に行って、いろいろ学んだのにそれを活かした職に就きたいし、いずれは独立したいと思っている。ハンバーガーショップでアルバイトをしているのはとりあえず生活費をもらう為だから。」


と両親や親戚には説明していたそうだ。


MAさんの意見にわたしは激しく同感した。

きっと、MAさんはハンバーガーショップの職に就いた頃はきっと心底そう思って、働いていたんだろう。


わたしも同じだ。
カラオケボックスの職に就いたころは、楽で楽しそうでいい出会いもあって時給もいいし、なんて楽しいんだと思っていた。


派遣の添乗員の職に就いたころは、いろいろなところに無料で旅行に行けるし、温泉に入って美味しい料理をいただけて、いい景色をいろいろ観れるし、お土産もいただける…なんて幸せなんだろう。

そんな風に思っていた。


こう話してみるとわたしがカラオケボックスや派遣の添乗員の職についた動機は、MAさんがハンバーガーショップの職に就いた動機よりも、ちとレベルが低いな…


でもおおきなくくりでいえば両方とも、


それが『自分の都合を満たす為』という事、言い換えれば『自分の欲を満たす為』だ。


その都合や欲はMAさんとわたしでは少し違ってはいるが、ようは同じ自分自身の都合や欲を満たす為に働いていることに変わりはないだろう。


ただ、悲しい事にそんな動機は目当ての職に就いて少しすると満たされてしまう。

MAさんの場合は『生活費』を得られれば、それで都合はつくわけだ。

だからそれ以上そのハンバーガーショップの職に意識を向けられなくなる。

『生活費』が入り続ける事がわかると人のその先の行動はほぼ惰性に陥っていく。

よく「仕事に身が入らない」という人に、コンサルタントがアドバイスとして、「今やっている事でやりがいがある事や世の為になる事を探しなさい。」というが、それは無理な相談だ。

わたしもそんなアドバイスを受けた事がある。

その時は『やりがい?世の為?そんなのクソ喰らえだ。』と思った、
いやもしかしたら、言ったかも知れない。


何故なら既にGOALは達成されてしまっているのだそれ以上何もない。

わたしの場合は音楽が聴けて出会いがあってそこそこ時給がいいという確認が出来れば、それでもう満たされていた。

いろいろなところに旅行に行って、温泉につかって美味しい食べ物を食べて、いろいろな景色を観てお土産をもらったら、それでもう十分満たされた。

東京ディズニーランドに行って、本当に楽しませてもらった。

でもそれは最初のうちだけだった。

修学旅行の添乗員などで頻繁に東京ディズニーランドに行くようになると、もう、園内を見て回る気も失せ、入園したら直ぐに関係者休憩室に行って、本を読み耽っていた。


北海道も最初の3回目くらいはもう、ワクワクドキドキだったが、直ぐに慣れた。何故なら仕事で行ってるから観光を楽しむ余裕など余りなかったように思う。

そうなると、北海道の雪祭りツアーなど、風は身を切るほど寒いし雪は冷たいし、何もいいことがないと思った。

そうなんだ慣れると飽きると全ての事が新鮮さを失い、色褪せてしまう。


何故?慣れるなんだろう?
何故?飽きるんだろう?


最初はあんなに楽しそうな仕事だったのに。