川村 みきをのメモ帳

日々のアウトプットをメモっています。

『答え』を絞り出すということCR082

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親に先生に会社に豊かな社会の環境に国に
依存しきった価値観でこれまでを組み立て
てきた【井の中の蛙】だったということを
痛感したわたしは【依存しきった価値観】を
打ち壊す為に渡米したが、すぐに強制送還
されてしまう。

このままこの先ずっとLoser(負け犬)と
して生きていく選択したくはなかったわたし
は再度渡米する。

新しい行き先はアメリカのテキサス州
キングスビルという片田舎の街にある大学。

そこで出会ったのはバングラデシュという
国からきたムハタグさんというわたしと同じ
年齢の青年。

1日の生活費が2ドル(約240円)という国
で暮らしてきた彼は一日一食がギリギリで
使っている道具も粗悪品だった。それでも、
国の為に村の為に必死で勉強をしていた。

そして日本の事に興味を抱いた彼から、
様々な国からやってきた友人や知人、
クラスメイトからわたしは質問攻めに合う。

一緒にヒューストンに買い物に出かければ、
その道中様々な【質問】と『答え』のやり
とりがなされる。

学校のイベントで海に出かければそこでも、
また様々な【質問】と『答え』のやりとり
がなされる。


いつしかわたしは【質問】されたことを英語
でメモってその後『答え』を考えるという
のが習慣になっていた。

そして、カッコつけない、飾らない、
偽らない『答え』を自身の遠い記憶の中
から掘り出していた。


それは時に辛く苦しい作業だった。


遠い過去に体験したことやそこで感じた
様々な出来事を記憶の中から掘り出すのだ。

それも異国で母国語ではない国の言葉で
相手に伝えていくのだ。


最初は上手く出来なかった。

慣れない作業に戸惑いを覚えた。


更に情報を収集する為のテレビもラジオも
無い。ましてパソコンもインターネットも
まだこの頃はほとんど知らなかった。

あるのは英語で書かれた学校の教科書と
日本から持っていった僅かな小説だけだ。

辞書もあえて持っていかなかったが必要に
感じたので現地で調達した。それは英和で
も和英でもなく、【英英辞典】だったが。

英語の単語の意味が英語で書かれているわ
けだ。日本の国語辞典みたいなものだ。


そして会話をする相手は様々な国の人達。

当然、日本語を使う機会は極端に減少する。


近くにコンビニもショッピングセンターも
カラオケボックスも居酒屋もネットカフェ
も本屋もお洒落なカフェも何も無い。

当然、携帯電話なんかも無い。

これまで持っていた様々な娯楽や便利な
道具そして、言葉が通じる友人たちという
そんな環境がガラリと変わりすべてが無い。


そんな状況下で唯一、残ったものがあった。


それは【思考】だ。


自身のうちにある【思考】だけは
フルに稼動させることが出来る。


【思考】だけはいつも自由だった。


この時に気づいたのだけど、これまで、
親や先生やテレビや友人や知人や他人から
何かを言われつづけてきたことに影響を
受けすぎていた。

そして便利になりすぎた日本の国のなかで、
自分自身の価値観を見失ってしまっていた。

そのためいつしか自身ではあまり物事を
考えなくなっていて常に受動的だった。

考える為の【思考】がいつのまにか、
錆付いてしまっていたのだ。

だから、いざ何かを考える時が来ても、
どうやって考えていけばいいのかが、
わからなかった。


【思考】の機能が損なわれていたのだ。


だから最初の頃は常にイライラしていた。


【思考】を処理できない自分自身にいつも
憤りを感じていた。

そしてやっと答えを搾り出してもそれが、
単なる自身の欲望でしかない。

こんな風になりたい、あれが欲しい。
もっといい暮らしがしたい。

隣では村を国を背負ってきている人がいる
というのに自身の心の醜態さに愕然とした。


【質問】を受けて『答え』を絞り出す、
というこの行為はなんていうか、これまで
ずっと隠し続けてきた【見て見ないフリ】
をしてきたことが少しずつ露呈していく。

露呈した【見て見ないフリ】を認めながら
先に進んでいくという、この行為はいわば、
化膿した膿(うみ)を絞り出すという行為
にとても酷似していた。


一瞬の大きな心の痛みを伴うのだ。


しかし化膿した膿(うみ)が絞り出された
その後は自身の治癒力で治癒されていく。

そして傷跡として自分自身で認めることで、
とても癒されていく。

 

 

 


to be continued